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大阪上町台地での現代美術展「オルタナティブ・ロマン」を無事に開催しました!が・・・
はじめに
ご挨拶
はじめまして、大阪を拠点に現代美術の分野で作品制作や企画などの活動をしている笹原晃平と申します。今回は私が2022年10月にキュレーションを担当した「オルタナティブ・ロマン」について、クラウドファンディングにてみなさまからのご支援を募れればと思い、企画を掲載しました。展覧会を通して、うまく実現した部分や、失敗してしまった部分など、背景を書かせていただく予定ですので、どうか読んでいたければと思っております。もし応援購入等を通してご支援いただけましたら、きっと今後の活動の励みになりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
実施した内容
実施概要
本企画「オルタナティブ・ロマン」は、2017年から継続して取り組まれてきた上町台地アートプロジェクト内の現 代美術展示部門であるアートワークスの一環として行われたものであり、上町台地をテーマとした現代美術作品を中心とした、アーティストによる地域調査・地域介入の結果を一堂に集め開催する現代美術展となりました。
【会期】2022年10月12日(水)〜2022年10月23日(日)13時〜18時 ※会期中無休・入場無料
【会場】阪口楼、旧住友吉左衛門茶臼山本邸土蔵、旧黒田藩蔵屋敷長屋門、あべのハルカス、浄國寺
【参加作家】兼子裕代、笹原晃平、松田壯統、Yukawa-Nakayasu、葭村太一
【キュレーション】笹原晃平
【プロジェクト・マネージメント】山本正大(少年企画、Birds)、佐藤真理
【デザイン】鈴木大義
【主催】上町台地アートワークス実行委員会、上町台地アートプロジェクト実行委員会
【共催】和宗総本山四天王寺、一般財団法人大阪地域振興調査会、大阪市立美術館
【助成】アーツサポート関西、公益財団法人野村財団
上町台地とは?
最北端に大阪城、最南端に住吉大社をおく上町台地は、現在の大阪市の大部分が海底にあった太古から、豊かな文明を形成してきました。現在、標高8~20mほどの高台となっているこの地域は、約7000年前の縄文海進期に陸地だった場所であり、この500年前までほぼ全域が湿地帯だった大阪の中でもたくさんの人が集住していたため、古代から中世の文化が集約されています。それは、戦国時代の治水工事や流通を一手に引き受ける形で栄えた船場や、江戸時代以降の商業や娯楽を加速させる形で栄えた難波などが成立する以前の、儀式と娯楽の全てがある土地だったといっても過言ではありません。この場所性は、そのまま近世、近代、現代と、地続きの文化を産み続けており、今でもその中心地には、日本で最初の官寺である四天王寺と、日本で一番の高層ビルであるあべのハルカスを、わずか1km圏内に隣接させるという古今が渾然一体となった景観を育んでいます。
企画の前提
このような特異な場所で開催されてきた上町台地アートプロジェクトは、国際シンポジウムや、歴史観光イベントなどと並行する形で、アートワークス部門という取り組みの中で、アーツサポート関西に設けられた「上町台地現代アート創造支援寄金」からの助成を受けて行われてきた現代美術作品の制作やリサーチ活動を継続的にサポートしてきました。アーツサポート関西の「上町台地現代アート創造支援寄金」助成は、2018年から始まり、毎年1名のアーティストを公募し、1年間のリサーチや作品発表を支援してきたもので、これまで、covid-19パンデミックをはじめ、中印国境紛争、ミャンマークーデータ、ロシアによるウクライナ侵攻などの国際的な危機や時代の変化に直面しながら取り組 まれてきたそれらの取り組みの総体を、2022年10月を一つの節目として、展覧会として提示し、再検証するに至りました。
実施した内容
展覧会の目指したもの
さて、本展覧会タイトルの《オルタナティブ・ロマン》にある、オルタナティブとは「もう一つの」といった意味を指し示し、ロマンはここでは「小説」を指し示します。つまり「あったかもしれない小さな物語」が本展覧会のタイトルの和訳です。上町台地で育まれた文明史や宗教史、あるいはそのわずかな痕跡と出会ったアーティストたちは、それらを単なる史実に留めず、身体的な経験を通してある種の「表現」へと昇華させてきました。これらの営みが展覧会という形式で鑑賞者に届けられることにより、彼らが土地の大きな物語に触れ「どのように対峙できるか」を探っている心の機微や、住民との協働作業の端緒に触れてきたその追体験や追想をめぐるものとなりました。本展覧会では、これらの上町台地で取り組まれてきた活動を推し進め、近代の始まりである西洋ロマン主義の立ち位置と比較させながら、プロジェクト型アートといわれる作品制作や、大阪におけるアートシーンについて再考を行うことになりました。
どこの文脈を前提としたか
そもそもロマンという言葉は、恋愛ロマンスや、過去を懐古をするロマンティックなどの意味合いで非常に親しまれている言葉です。もともとの意味を辿ると、「ローマの」という意味ではありますが、19世紀頃には「小説」という意味合いをもちます。歴史的な物語を大きな物語と捉えたときの個人の物語を小説=ロマンと位置付けたもので、つまり、名もなき人々の恋愛や、史実に載っていない出来事に傾注することを「大説に対しての小説」と呼ぶものです。その頃の西洋ロマン主義者を見てみると、それ以前の権威的に溢れた大きな物語に対して、作家自身も含めた「名もなき個」へ の問題へと主題を転換させるために、宮廷やブルジョアから距離をとって大自然と対峙した構造を見ることができます。
あったかもしれない小さな物語
本展覧会オルタナティブ・ロマンでは、これらの過去のロマン主義者たちの姿勢をそのまま、1970年代以降の美術館を飛び出して制作をされたアースワークやパブリックアートや、そこから洗練され成立したリサーチ型/プロジェクト型と言われるアートや、昨今のソーシャリーエンゲージドアートなどに投影しました。つまり作家の外部としての環境や社会問題を取り入れることをテーマやモチーフにとどめず、作家の経験として表現に昇華される過程にある個人的な経験や気づきを、「あったかもしれない小さな物語」と位置付けることとなりました。
大阪での状況について
また、今回の上町台地での個々のアーティストの実践を総括する展覧会は、大阪における上町台地という特異な場所で行われた継続的な取り組みが、昨今の大阪内の各種アートを謳う企画の中でも、特殊な状況を生んでいるという仮説を出発点としていました。特に、大阪における近年のアートシーン、つまりは太陽の塔から続く巨大シンボル彫刻 と、社会実装や観光など明確な目的を持ったアートイベントと、京都からの流れを汲むアートフェアーという、3つの流れが隆盛するなかで、上町台地ではもう一つの文脈としてのプロジェクト型やリサーチ型作品というものが取り組まれてきたことを提示することになりました。この状況をそれぞれの作賓を通して仔細に眺めることで、場所からおこる表現としてのアートプロジェクトとはなんだったのかを問い、表現そのものについて検証することとなりました。芸術分野における、観光、売買、投資、催事、収蔵、など、その目的化の手法にフォーカスされつつある2022年の大阪において、それらの根本にある「表現」というものに具体的に触れる機会が創出され、上町台地での継続的な取り組みを魅せる展覧会となりました。
特別だった部分①場所の問題
場所がない!
こられの数年にわたる取り組みの中で、アーティスト達は地域に介入し、さまざまな視点で調査活動や取材、作品制作を行ってきました。けれども、上町台地内での展覧会実施はなかなか難しいものがあったようです。例えば、トークイベントなどで1日貸していただける会場は、寺社仏閣含めてさまざまな場所がありますが「展覧会」となるとそうはいきません。準備に1週間、会期で2週間、撤収と現状復帰で1週間、と合計1ヶ月まるまる貸していただける会場が必要になります。また、現代美術のように「場所をどのようにつかうかわからない」状態のものにハイソレと場所を貸す方はきっと少ないでしょう。復帰できないほどに壊されてしまったり、騒音など含めて隣人との関係にも心配があると思われます。
まずは会場探し 〜 空き家を探して直営業の日々 〜
けれども、今回、上町台地でのキュレーションで関わるならば、どうしても上町台地内での展覧会の実施をしたいと思っていました。とにかく、現代美術というハードルの高さを抱えながらも、時間を見つけては上町台地内を歩き、空き家も含めて「展示ができそうな空間」を見つけてはインターホンを押して、電話をして「展覧会場として利用できないか?」といわゆる直営業をしながらお話しさせていただいていました。
そして運命的な出会いもあり最初にお話がまとまったのが、今回の展覧会のメイン会場となった「阪口楼」という元料亭でした。天王寺公園に隣接した立地で、散歩中に見つけた場所でしたが、地元では知る人ぞ知る有名な料亭だったようです。とにかく「ある程度大きな空間」を、「1ヶ月丸っとお借りでき」かつ「お互い信頼関係が築けそう」な方との出会いが、展覧会の実現を加速させていったのであります。
さらに会場探し 〜 もっと風呂敷を広げて 〜
このようにまずは「阪口楼」さんをメインにさせていただき、大小8部屋を利用する展覧会を行うベースができました。上町台地に最初に関わった松田壯統さんと、最も長く関わったYukawa-Nakayasuさんとともに、会場構成を考えながらいろいろなアイディアを出し合いました。順路や設置作品についても決めつつ形が少し見えてきていました。
ただそうなると一つの建物に上町台地を語ってもらうのはなかなか荷が重いのではという思いと、駅から阪口楼までのルートにあるラブホテル街の雰囲気など、展覧会としてもっと可能性を広げれるのではないかと考えました。上町台地は広域の地域なので、いくつかの建物で周遊する形式=もっというと裏も表も見せるような都市的な会場構成ができないかと考えました。
そこで隣接する天王寺公園内にある「旧黒田藩長屋門」と「旧住友家倉庫」という2つの会場を使えないかという交渉を始めました。いまでこそその由来はわかっているものの、当時の私としては阪口楼と同じように歩いてみつけた空き家程度の認識で「中に空間ありそうだなァ、見せてもらないかなァ。」くらいの敷居の低さから交渉を始めました。ただお話しを伺うテーブルについてみれば、大阪市の所有物で管理を大阪市立美術館が行なっており、さらに正式な公開を行ったことがないというかなりハードルの高いものでした。使用するには、①慶沢園一体利用の協定を活用しながら、②共催含めて大阪市立美術館が主体的に使用をするものとし、③安全管理計画などを徹底した状態で利用するというものでした。さまざまな方のご協力があり、利用するに至りました。
ご支援
【とにかく応援!!】
- ご支援証明書(jpeg)
応援いただきありがとうございます!こちらからご支援くださった皆様には、感謝の気持ちを詰め込んだご支援証明書のダウンロードリンクをお送りいたします。モノは要らない、純粋支援をご希望の方におすすめのプランとなっております。金額:1,000円|残り:98個
【展覧会セット】
- お礼のポストカード
- 展覧会のチラシ(A4サイズ、表4C+特色、裏4C)
- 会場で配布したハンドアウト(作品解説つき)
応援いただける皆さま、本当にありがとうございます!こちらからご支援くださった皆様には、感謝のポストカードとともに、鈴木大義さんによるデザインの展覧会チラシに加えて、会場で配布した作品解説付きのハンドアウトをお送りいたします。金額:3,000円|残り:100個
【キュレーターセット】
・出品作品の写真を印刷したポストカード
・展覧会のチラシ
・会場で配布したハンドアウト
・「潮流が形になるとき」キュレーションブック
応援下さる皆さま、本当にありがとうございます!こちらからご支援くださった皆様には、感謝の気持ちを詰め込んだポストカード、展覧会チラシ、ハンドアウトに加えて、本展キュレーターの笹原晃平が2022年にキュレーションをした展覧会「千島土地コレクション - TIDE - 潮流が形になるとき」のオフィシャルキュレーションブックをお送りします。金額:5,000円|残り100個
【アーティストセット】
・出品作品の写真を印刷したポストカード
・展覧会のチラシ
・会場で配布したハンドアウト
・「潮流が形になるとき」キュレーションブック
・「Power of Energy」(Kohei Sasahara Works 2007-2020)
応援下さる皆さま、本当にありがとうございます!こちらからご支援くださった皆様には、感謝の気持ちを詰め込んだポストカード、展覧会チラシ、ハンドアウト、本展キュレーターの笹原晃平が2022年にキュレーションをした展覧会「千島土地コレクション - TIDE - 潮流が形になるとき」のオフィシャルキュレーションブックに加えて、本展参加作家の笹原晃平が毎年制作するポートフォリオブックの最新版「Power of Energy」(Kohei Sasahara Works 2007 - 2020)をお送りします。金額:10,000円
【NFTセット】
・出品作品の写真を印刷したポストカード
・展覧会のチラシ
・会場で配布したハンドアウト
・「潮流が形になるとき」キュレーションブック
・「Power of Energy」(Kohei Sasahara Works 2007-2020)
応援下さる皆さま、本当にありがとうございます!こちらからご支援くださった皆様には、感謝の気持ちを詰め込んだポストカード、展覧会チラシ、ハンドアウト、本展キュレーターの笹原晃平が2022年にキュレーションをした展覧会「千島土地コレクション - TIDE - 潮流が形になるとき」のオフィシャルキュレーションブックに加えて、本展参加作家の笹原晃平が毎年制作するポートフォリオブックの最新版「Power of Energy」(Kohei Sasahara Works 2007 - 2020)をお送りします。金額:10,000円